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ベートーヴェン:
・交響曲第3番変ホ長調『英雄』作品55(1959年10月録音)
・歌劇『フィデリオ』序曲 作品72b(1962年2月録音)
・『レオノーレ』序曲第3番 作品72a(1964年11月録音)
フィルハーモニア管弦楽団
オットー・クレンペラー(指揮)
ステレオ録音
クレンペラー/ベートーヴェン:交響曲&ピアノ協奏曲全集(CD9枚組)
1955年から63年にかけてステレオ録音された交響曲全集と5つの序曲、大フーガに、1967&68年に収録されたバレンボイムとのピアノ協奏曲全集プラス《合唱幻想曲》をまとめた徳用BOXセット。
特に交響曲は、20世紀を代表するこの大物指揮者が残した最大の遺産として世に知られるものです。安易な感情移入を廃し、遅めのテンポで壮大な世界を構築したユニークな名演揃いで、序曲その他を含めて、その内燃するエネルギーの強烈さには驚くばかり。完璧に維持されるフレーズの形が、ヴァイオリン両翼配置と相まって立体的な音響を創出するほか、第9の第2楽章など木管部隊の鋭いリズムも実にみごと。
ピアノ協奏曲も、若いピアニストを完全に管制下に置いて存分に自らの音楽を展開、あたかも眼前に築き上げられていく巨大な構造物を仰ぎ見るかのような思いにさせられる別格的な演奏です。まるで交響曲のような演奏ですが、ここまで凄みがあればそうした暴挙(?)も許されるというもの。異様なまでに力強い第5番や第1番はもちろんのこと、クレンペラーの面白さは、実は第4番第2楽章などという部分に端的に示されていることを改めて確認させてくれます。
第9の小型版ともいわれる合唱幻想曲も、ここでは無類の巨大なスケールを誇り、コーダに至ってはどこまでも続く高揚感に圧倒されるほかありません。しかもその前の各ブロックで聴かれるディテール表現の雄弁さはほかの演奏とはまさに次元の違うもので、クレンペラーの偏執的なまでの楽曲分析&音響構築への執念にひたすら頭が下がる思いです。
なお、交響曲全曲&5つの序曲と大フーガ、および協奏曲第5番《皇帝》と《合唱幻想曲》は、先にリリース済みの『クレンペラー・レガシー』と同一の24ビット・デジタル・リマスター盤です。
アルバム: CD photograph
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